海外居住で日本に住民票がない場合、基本的には日本の証券口座では株取引はできません。やろうと思えばできるのですが、証券会社にバレると取引ができなくなってしまうというリスクがあります。
となると現地で証券口座を開設して取引するしかないのですが、実際にやってみると日本で投資するよりも大きなメリットがあります。今回はシンガポールで証券口座を開設するメリットとその手順について解説します。
シンガポールの証券口座を開設するメリット
海外の証券口座で取引するとなると全て英語での取引となるため、なにかトラブルが起きた際の対処など正直不安な要素も多いと思います。しかしながらシンガポールで取引するにはそれ以上のメリットがあります。
日本において、株の取引をした場合の売却益や配当金には基本的に20%の税金がかかります。要するに100万円儲かった場合は20万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは80万です。現在はNISAを利用して非課税枠を活用することができますが、その枠も限られています。
一方シンガポールの場合、株の売却益や配当に対して基本的には税金がかかりません。100万円の儲けが出た場合、100万円が全て自分の財布に入るわけです。このメリットは、むしろシンガポールに住んでいる人だけの特権となります。ですので、シンガポールに住んでいて証券口座を開設し投資をしない手はないのです。
シンガポールでの証券口座の開設手順
ここではシンガポール在住の9割以上の方が開設していると思われる最大手、DBSでの開設を例に手順を紹介したいと思います。なかなか手順含めてトリッキーな点も多いので注意して進めた方がよいです。
大まかな流れ
大まかな流れは
- DBS銀行口座の開設
- SGXでCDP口座の開設
- DBS証券口座(DBS Vickers)の開設
という手順になります。
2番目のCDP口座は聞き慣れないかと思いますが、これはCentral Depository という名称で日本の証券保管振替機構(ほふり)と同じようなものになります。シンガポールではSGX(シンガポール証券取引所 / Singapore Exchange)がこの役割を担います。
1. DBS銀行口座の開設
銀行口座の開設に関しては別途解説します。
2. SGXでCDP口座の開設
銀行口座の解説が終わってまず必要なのはCDP口座の解説です、先に証券口座を開設してしまうとアカウントの連携がうまくいかない可能性があるので、順番を間違わないようにしてください。
CDPの開設ページへは下記のリンクからアクセスできます。
解説にはSing Passを利用する方法と情報をそのまま入力する方法があります。Sing Passを既に持っている場合はSing Pass経由の方が入力する情報を一部省けますが、なければ通常の作成手順で構いません。
- 個人情報
- 銀行口座とTax情報
- 必要書類のアップロード
という手順で情報を入力していきます。
1.個人情報
基本的な情報なので指示に従って入力します。
2.銀行口座とTax情報
この「Tax Residence」の項目ではシンガポールのVISAの番号に加えて、日本のマイナンバーがある場合にはその入力も必要になります。
3.必要書類のアップロード
「Primary Support Documents」の項目にパスポートのコピーをアップロード、
「Secondary Support Documents」の項目にDBSのウェブページから発行できる口座情報のPDFをアップロード、
「Signature」の項目に自身のサインをアップロードします、これは自身で紙にサインを書いてそれを撮影したもので問題ありませんでした。
全ての情報が入力できるとそこから15分ほどでCDPの口座番号が先行して送られます。この番号が次のステップに必要になります。
パスワードとワンタイムログインデバイスが後日郵送にて自宅に送付されます。
3. DBS証券口座(DBS Vickers)の開設
銀行口座を既に持っていると思うので、その中の下記のタブの一番下、「DBS Vickers Online Trading Account」から開設のページに進みます。
この際先ほどのCDPの口座番号を入力する項目があるので早速入力します。ここにCDP番号を入力しないと口座が連携されず、別途アカウントをリンクさせるめんどくさい手順を踏むことになるので注意してください。
こちらの取引も完了すると随時郵送で、
- 開設のお知らせと口座番号
- ログインに必要なパスワード
- ワンタイムパスワードのデバイスと初期Registration ID
が送付されます。
手続きの完了
処理がうまく行くとCDPアカウントと連携された旨の連絡があります。
その後は届いたログイン情報を使ってアカウントにアクセスします。
その他の注意事項
ワンタイムログインのデバイスは別途アクティベートする必要があるのですが、携帯番号を利用したSMSでも利用できるので、正直あまり使っていません。
また、DBS Vickesアカウントに関してはDBSのオンラインバンキングアカウントからもシングルサインオンができるので、専用のログイン情報に関してはあまり利用していません。
まとめ
取引開始までに多くのステップがあり、正直なかなか面倒なのですが、基本的に全てオンラインで完結できるので注意して進めれば問題ないと思います。開設後もシンガポール市場以外の市場の取引には別途手続きが必要になるのでその点に関しては別途開設したいと思います。
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